カナダ・アメリカ上空で撃墜されたUFO:その正体とは
2023年2月、本来の意味でのUFO、つまり未確認飛行物体がひとびとの注目を集めた。2月10日から2月12日までの数日間に、米国およびカナダの上空を飛行していた未確認物体3機が撃墜されたのだ。ところが、当局はその正体について断定を避けており、エイリアンの乗り物である可能性を排除しない米軍関係者もいるほどだ。
米国およびカナダ上空で撃墜された未確認飛行物体について、米当局はいまだ正体を掴むことができていない。けれども、『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、宇宙人の乗り物でも中国の偵察気球でもないことは確かだという。
件のUFOは直ちに撃墜され、残骸を調査するための委員会が設置された。しかし、以前に撃墜された中国の偵察気球(写真)がすぐに回収されたのに対し、今回のUFOはいまだ回収作業が続いているようだ。このUFOの正体に関して今のところ有力な説は、民間所有の飛行物体であり、国家安全保障上の脅威ではなかったというものだ。
一方、バイデン大統領はこの状況を逆手に取って、自らの株を上げようと試みている。2月13日、ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は記者会見で、「このような未確認の航空現象は以前から報告されていたものの、政府による詳しい調査はなされていませんでした。しかし、バイデン大統領はこの状況を一変させました。私たちはようやく、正体を掴もうとしているのです」とコメントした。
『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、記者会見の場で今回のUFOが地球外生命体のものである可能性について尋ねられた北米航空宇宙防衛司令部のグレン・バンハーク司令官は、「現時点ではあらゆる可能性を排除できません」と返答。
しかし数時間後、ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官が、「最近、撃墜された物体から、エイリアンや地球外生命体による活動の気配は一切見つかっていません」と訂正することとなった。
奇妙な事態が起こり始めたのは、米国のジョー・バイデン大統領が同国上空に飛来した中国の偵察気球を撃墜する決断を下したときからだった。
米国およびカナダの上空を飛行するUFOが3機も発見されたばかりか、正体も目的も判明していないのだ。
1機目のUFOが発見されたのは2月9日。北極付近の上空約1万2,000メートル地点を漂っていたが、2月10日に米空軍が撃墜、アラスカ湾に落下したという。
アメリカ国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は報道陣に対し、「先週の土曜日に撃墜された偵察気球と比べると、(今回のUFOは)はるかに小さなものでした」とコメントしている。
そして、「小型車ほどの大きさだったという説明を受けています。(前回の偵察気球が)バス2~3台分の積載量だったのとは対照的です」と付け加えた。
『ニューヨーク・ポスト』紙によれば、カービー報道官はこの物体に偵察機能や出所を示す手がかりがあるかどうかは不明だと述べたようだ。
カービー報道官はまた、「現段階では『物体』という表現が最も適切でしょう。所有者はわかっていません」としている。
さらに、「破片は米国の領海内、しかも凍った海水の上に落下したと見られているので、回収できるはずです」と付け加えたカービー報道官。
しかし、この事件によってアメリカとカナダの当局は厳戒態勢を敷きはじめ、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)が2機目の飛行物体を発見するのにそれほど時間はかからなかった。
アラスカでのUFO発見から24時間も経たないうちに、カナダのジャスティン・トルドー首相が同国のユーコン準州上空に現れたUFOを撃墜するよう指示したのだ。
奇妙なことにトルドー首相は資金調達イベントのためユーコン準州を訪れる予定になっていた。そして、出発前に記者団に対して、「回収チームは現場に到着しており、物体の捜索と分析を目指しています」とコメントしたという。
カナダの回収チームはいまだUFOの残骸を回収できていない。しかし、たとえ回収に成功したとしても、分析結果が直ちに一般公開される可能性は低いだろう。
トルドー首相は2月12日に記者会見を開き、「市民の安全は私たちの最優先課題です。だからこそ、未確認飛行物体の撃墜を決断しました」と述べたが、その直後にヒューロン湖上空で3機目のUFOが発見されることとなった。
米国防総省のパトリック・ライダー報道官の声明によれば、正体不明の飛行物体は米軍機の出動により、現地時間2月12日午後2時42分に撃墜されたという。
同報道官は、「地上目標に対する積極的な軍事的脅威ではないと判断されましたが、航空機の安全な飛行を妨げるおそれがあったほか、偵察能力を有する可能性もありました」としている。
件の物体について『ウォール・ストリート・ジャーナル』誌は、八角形の外観を持ち高度6,000メートルを飛行していたと書いているが、これが本当なら直下で暮らす人々を危険に晒す恐れがあったと見て間違いないだろう。
これらの物体の正体はいまだ謎に包まれている。多くの説が囁かれているものの、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「確実に言えることがあるとすれば、真実はいまだ不明だということだ」としている。