米議員、ウクライナに徴兵可能年齢の引き下げを求める
最近の報道によれば、米国の議員らがウクライナのゼレンスキー政権に対し、徴兵年齢の引き下げを求めているらしい。こうした動きには、共和党、民主党両陣営の議員が関わっているという。
ウクライナは、プーチン大統領率いるロシア軍による全面侵攻を2年以上にわたって押し返し続けている。だが、いまのところウクライナで動員されているのは比較的年齢の高い男性が多く、このような規模の戦争においては前例のないこととなっている。
ウクライナ政府は当初、徴兵対象を27歳以上の市民としてきた。だが、2024年4月、兵員の不足を受けてその年齢を25歳に引き下げている。
AP通信による当時の報道では、ウクライナは50万人の兵士を新たに動員する計画を立てていたという。その計画の要となっていたのが前述の徴兵年齢の引き下げだ。
ウクライナは2023年10月時点でおよそ80万人の兵士を擁していた。この数には、国境警備隊など軍隊以外の組織に所属する約30万の人員は含まれていない。従ってそれらの合計が、ウクライナがすぐに国防にまわせる人的資源の総数ということになる。
だが、あるウクライナ高官によると、その徴兵可能年齢を18歳まで引き下げるよう、アメリカの共和党・民主党両陣営から圧力がかけられているのだという。
徴兵年齢の引き下げには共和党・民主党両陣営の議員が関与していることが確認できたという。ウクライナ大統領顧問のセルヒー・レシュチェンコが自身のテレグラムチャンネルへの投稿で明かした。
レシュチェンコ氏はこう語っている:「アメリカからの圧力が表面化してきているが、以下のことは確かだ。アメリカの両陣営の議員がゼレンスキー大統領に対して、なぜウクライナでは18歳から25歳の国民を徴兵しないのかとプレッシャーをかけてきている」RBCウクライナが報じている。
レシュチェンコ氏は圧力をかけてきている議員の具体的な名前は挙げなかったが、その人物はベトナム戦争の時のアメリカを引き合いに出し、ウクライナも徴兵年齢を引き下げるべきだと述べたという。
レシュチェンコ氏によると、圧力をかけてきている議員はアメリカではベトナム戦争の時に19歳から徴兵を行ったと述べ、アメリカ製の兵器だけではロシアに打ち勝つことはできないとも語ったという。
「ゼレンスキー大統領は圧力に屈することなく、両陣営の議員に対し、徴兵可能年齢の引き下げは行わないが兵器供与はこれまで通り続けてほしいと粘り強く訴えている」とレシュチェンコ氏は続けている。これを見る限り、いまのところウクライナでは徴兵可能年齢を引き下げるつもりはないようだ。
アメリカからの圧力が報じられて以来、実際に徴兵可能年齢を引き下げることがウクライナにとって有益な選択肢なのか、ということが議論されている。
「(徴兵可能年齢引き下げの是非は)単純な結論を導くのが非常に難しいタイプの問題です」と語るのは、ウクライナのラジオ局「Radio NV」の番組に出演した軍事アナリスト、デニス・ポポヴィチだ。『New Voice of Ukraine』誌が翻訳して報じている。
ポポヴィチ氏はこう語っている:「前線で兵役に就いている人々からは、50歳以上の兵士は実践ではあまり効果的ではないという声が出ています。この年齢層の人々はしばしば、体力的な要求水準を満たしていないのです」
ポポヴィチ氏はさらに、若い人の方が「当然、前線での任務には適している」と続け、ウクライナ軍は現在「兵員の不足」に悩んでいるとも語っている。
先述の通り、ウクライナでは2024年5月に新たな動員法が施行された。新法の下では、徴兵年齢にある人物は60日以内に政府のポータルに個人情報をアップロードせねばならず、徴兵可能な人物が把握しやすくなっている。ただし、『キーウ・インディペンデント』紙によるとアップロードの締め切りは後に7月17日まで延長されたという。
その7月の締め切りまでに、460万人以上の徴兵年齢にある男性が個人情報をアップロードしたという。だが、新法施行後に新たに徴兵された具体的な人数は明らかにされていない。