「UFO」目撃件数がアメリカで400件を上回る:各国も認める未確認飛行物体の存在
人類は昔から、広大な宇宙には地球人の他にも知的生命体が存在するのだろうか?と思いを馳せてきたが、最近またUFOに注目が集まっている。米国防省が近年、米国内だけでも400件を超える「未確認飛行物体」の目撃記録があると公表したためだ。再び脚光を浴びるUFOだが、この怪現象は自然現象や人工物の見間違いにすぎないのだろうか?それとも、宇宙人たちが地球を監視している証拠なのだろうか?
画像:Albert Antony / Unsplash
50年ぶりに米下院で公聴会の議題になるなど、米国ではかなり真剣な話題として扱われているUFO。しかも、海軍情報部のスコット・ブレイ副部長などは、UFOが目撃されることは「珍しくない」と断言しているのだから驚かざるを得ない。
しかし、これは米国に限った話ではない。フランスでは2007年、英国では2011年にUFOに関する書類が機密解除され、各国の指導者たちの注目を集めるようになっているのだ。そして2020年、今度は日本政府がUFOを発見した場合の自衛隊の対応について新たな方針を打ち出すこととなった。
画像:Albert Antony / Unsplash
さて、歴史を振り返ってみるとUFOの目撃情報は数多く報告されており、記録に残されているケースも少なくない。では、こういったUFOは本当に宇宙からやってきた訪問者なのだろうか、それとも単なる目の錯覚なのだろうか?まずは有名なケースから見てゆくことにしよう。
1947年6月24日、米国人パイロットのケネス・アーノルド(写真中央)が、飛行中に異様な形をした物体と遭遇したと証言。このような報告は以前からなされていたが、「空飛ぶ円盤」として大々的に報道されたのはこれが始めてだった。
アーノルドは行方不明の飛行機を捜索するため、ワシントン州にあるレーニア山上空を飛行していたが、そこで奇妙な飛行物体を9つも目撃したという。それらの「物体」は一列に並んで異様な動きを見せながら飛行していたようだ。AP通信が当時行った報道によれば、アーノルドは謎の飛翔体について「不規則な飛行をするとても眩しい物体」であり、「驚くべき速度で」移動したと証言している。
アーノルドの事件は「空飛ぶ円盤」、すなわち楕円形のUFOという都市伝説を生み出すきっかけとなった。アーノルド自身の言葉によれば、空飛ぶ円盤は「ブーメラン」のような軌跡を描いて飛んでいたらしい。
ただし、実はもっと古い目撃例も存在する。英国の紀行作家、マリア・グラハムはチリ滞在中にその経験を記録した旅行記を執筆したが、1822年11月19日の日記にはキンテロ(チリ)の海上で異様な光を目撃したと書かれているのだ。
1853年12月3日には、プエルト・モント市(チリ)の創設者の1人だったブエナベントゥーラ・マルティネス・ディアス司令官がウアル島で「花火のようなものが雲を通り抜ける」のを目撃している。
1861年5月15日には地元紙『La Esperanza』がタルカ市で発生した恐ろしい事件を報道。しかも、今回は空を飛んでいるだけの無害なUFOではなく、別世界からやって来たと思しき「訪問者」が目撃されたらしいのだ。
画像:Stephen Leopardi / Unsplash
さらに、地元紙『El Constituyente』の報道によれば、コピアポでは1868年3月、7月、11月の3度にわたってUFOが目撃されているが、「これらの空中現象は未解明のまま」だったという。時は流れ2013年、ふたたびこの街からUFOの目撃情報がもたらされる。今回の目撃者は現地の労働者だった。
以来、各国の軍人や飛行機のパイロット、あるいは一般人によって、UFOを目撃したという情報が数千件も寄せられるようになった。多くの場合、このような怪現象は科学的に説明することができるものだが、中には解明されていないケースもあるのだ。
1948年から1969年にかけて、米国ではUFOが安全保障上の脅威になりうるかどうかを判断するため、政府主導で「プロジェクト・ブルーブック」を実施。その結果、1万2,618件の目撃情報が空軍によってもたらされたが、そのうち701件が現在も「未確認」のままだとされている。
しかし、「プロジェクト・ブルーブック」はコストがかさむことから中止に追い込まれてしまった。その後、記録の機密が解除されたが、それによれば「プロジェクトの中止以降、空軍によるUFO研究を再開する必要性を示す出来事は一度も起きていない」とされている。
1947年、UFOに関する事件としてはもっとも伝説的な出来事が発生する。 ロズウェル事件と呼ばれるこのケースでは、正体不明の飛行物体がニューメキシコ州ロズウェル市の荒野に墜落。その後、地球外生命体との接触があったとされている。
米当局はその物体について気象観測気球であり、人々が噂するような「空飛ぶ円盤」などではないとして事態の収束を図った。しかし、CNN放送が1997年に発表した世論調査によれば、米国民の3分の2が政府見解を信用せず、UFOの墜落だったと捉えているようだ。
目撃者は、米軍が墜落現場から正体不明の物体とエイリアンの遺体を運び去るのを見たと主張。さらに、米軍のウォルター・ハウト元報道官は1997年に「我々は空飛ぶ円盤を回収した」と発言したというが、こういった情報には確固とした証拠がない。
現在、ロズウェルは、UFOや地球外生命体の痕跡を求めて訪れる愛好家たちのおかげで賑わっている。市内には「UFO博物館」なるものまで設立され、世界中から多くの観光客を集めているのだ。
ロズウェルと並んでUFOの聖地とされているのがエリア51だ。ネバダ砂漠の真ん中にある極秘の基地には、UFOやエイリアンの遺体が隠されていると信じている人は今も少なくない。
CIAは2013年になって、エリア51がラスベガスの北西に位置する極秘の米軍基地であることを示す文書を機密解除。冷戦下でソ連と対峙するために開発された偵察機、U-2やA-12の試験場だったことが明らかになった。つまり、エイリアンとは何の関係もなかったのだ。
しかし、米当局にとってUFOは安全保障上の脅威として長年、懸念されていた。2010年には米空軍の元職員7人が、1960年代から1980年代にかけて核兵器関連施設のそばでUFOが何度も目撃されたという情報があったことを認めている。
あるUFOのケースでは、ロバート・サラス元空軍大佐が「我々のミサイルは無力化されてしまい、発射できなかった。これはその物体が当機の上を飛行している際に発生した」と証言。
目撃情報に関する記者会見を開いたUFO研究家のロバート・ヘイスティングスは、次のように述べている:「証言者たちは、遠くの惑星の生命体が地球を訪れ、第二次世界大戦末期に登場した米軍の核兵器に興味を抱いたと考えているのだ」
また、『タイムズ』紙の報道によれば、英国で機密解除された文書には、英国の田園地帯上空に出現したUFOを撃墜するよう米軍パイロット2人に対して命令が下されたことが記録されていたという。これは1957年5月20日の出来事だとされており、退役軍人たちは当時を振り返りながら会見を行った(写真)。
当時を知るパイロットの1人、ミルトン・トーレスによれば、その物体は「不規則な移動」をしていたほか、レーダーに映る機影は「空母なみの大きさ」で「しばらくホバリングしたのち、推定時速1万2,000キロメートルで飛び去った」という。
UFO目撃の報告はカナダからも上がっている。なかでも良く知られているのはシャグ・ハーバー事件だろう。シャグ・ハーバーというのはノバスコシア半島にある漁村だが、1967年10月4日にこの村の漁師たちが大西洋に墜落する眩しい物体を目撃したのだ。はじめは飛行機ではないかと思われたが、残骸は発見されなかったという。以来、このケースは未解明のまま現在に至っている。
チリ史上もっとも有名なUFO事件が、1977年4月25日に発生したバルデス事件だ。その日、アルマンド・バルデス伍長が地球外生命体に誘拐されたらしいのだ。しかし、マイプで開かれたUFO研究家の会合に出席した本人はこの噂を否定。実際のところ、バルデス伍長は何も覚えていなかったらしい。ただし、眩しい光が配下の兵士たちの目をくらませたことは認めている。さらに、奇妙なことには、バルデス伍長が姿を消していたのは15分間に過ぎないにもかかわらずヒゲが伸びていたほか、腕時計も止まっていたという。
1989年9月27日には、モスクワ南東にあるヴォロネジ市で別の事件が発生。このケースでは今でも、多数の目撃者たちが宇宙人に遭遇したと主張し続けている。ロシアの科学者たちは即座にこの噂を否定したが、国営タス通信が報じたことで大きな話題となった。
1997年3月、今度は米国のフェニックスからUFO目撃情報が寄せられる。多数の市民が、遠くの惑星からやって来たとおぼしき巨大な飛行物体を見たというのだ。
元アリゾナ州知事で空軍パイロットだったこともあるファイフ・シミントンも目撃者の1人だ。彼はCNN放送に対し、次のように語っている:「三角形の巨大な宇宙船がスクウェア・ピーク(フェニックス付近の山脈)の上空を静かに移動するのを目撃しました。その物体は西に向きを変え、遠くからフェニックスの街あかりを眺めているようだったので、私はとても驚きました」
2007年、ビニャ・デル・マル(チリ)で開催されたUFO研究者の会合で、チリ軍は数人のパイロットがUFOを目撃したと発表。AFEによれば、チリ軍のロドリゴ・ブラボ大尉は「いくつかの場所で発生した異様な出来事」だったと述べたという。
2010年、BBC放送は英国防省がついに機密解除した情報を報道し、人々に衝撃を与えた。それによれば、ウィンストン・チャーチル元首相は国民の「大規模なパニック」を避けるため、1940年~1945年、1951年~1955年の2度にわたって空軍によるUFO目撃事件を少なくとも50年間秘匿するよう命じたというのだ。
当時、この問題は大きな懸念をもって受け止められており、科学者のニック・ポープをはじめとする専門家たちによる委員会が設置されるほどだった。後になって、ポープはBBC放送のインタビューで次のようにコメントしている:「イギリス空軍の爆撃機が捉えた奇妙な現象について、チャーチルとアイゼンハウアーは見なかったことにしたのです。その結果、1950年代の記録文書はほとんど破棄されてしまいました」
2017年には、恒星間天体「オウムアムア」が太陽系に飛来。遠ざかるまでの短期間のあいだに地上にある複数の望遠鏡から確認され、科学者たちを中心に大きな議論を巻き起こすこととなった。一般的には奇妙な形をした小惑星あるいは彗星だと見なされているが、エイリアンの宇宙船ではないかと考える人もいる。
専門家たちの試算によるとオウムアムアは全長400メートル、幅40メートルで、表面は赤みを帯びているとされる。さらに、高速で自転しながら不規則な軌道を描いて飛行し、光度に著しい変化が認められるという。
はじめは小惑星あるいは彗星だという見方が大勢を占めていたが、徐々に異論も聞こえるようになってきた。たとえば、シュムエル・ビアリーやアブラハム・ローブなどは『Astrophysical Journal Letters』に論文を投稿し、「オウムアムアは、地球外文明が地球付近に派遣した遠隔操作型の探査機ではないか」と主張している。
ローブは「オウムアムアは太陽系外から飛来した物体としては、はじめて観測されたものである」という説を強く支持している。また、BBC放送によるインタビューでは、「オウムアムアは風変わりな特徴を示したほか、かつて観察されたことのない現象を示しました」とコメントしたという。
UFOの目撃情報はコロナ禍によるロックダウン中にとりわけ劇的な増加を見せ、証拠写真や動画がSNSで拡散される事態となった。突然、あちこちに出現するようになったわけだが、果たして本物なのかデマなのか……
これまでにご紹介したケース以外にも、世界各地でUFOを目撃したという報告は絶えない。1965年にはアルゼンチン海軍が南極で8回遭遇しているほか、1976年にはテヘランで、1977年にはブラジルのコラーレスで同様の報告がなされている。また、スペインでは1979年にマニゼスで、1976~1979年にはカナリア諸島で、1981年にはオチャテでUFOが目撃されている。
おもに専門家たちの間で話題となることが多いUFO現象だが、実はセレブの中にもUFOと遭遇したと主張する人々がいる。たとえば、マイアミから共和党員として下院選挙に立候補したベッティーナ・ロドリゲスは、2009 年に宇宙人に誘拐されたと主張しているという。また、アルゼンチン人ミュージシャンのアンドレス・カラマロも1980年代に、バンド「ロス・プラテロス」のツアー中にUFOを見たと述べている。
人々の興味を搔き立ててやまないUFO現象。各国政府も正体不明の飛行物体が目撃されているという事実は認めているのだ。実際に遭遇するのは願い下げだという意見もあるだろうが、SF小説や映画では定番のモチーフとなっている。
画像:意図しないコンセプト / Unsplash