「毒上司」6つのタイプと、良い上司になるための条件とは
職場環境において、上司の果たす役割は思った以上に大きいかもしれない。優れた従業員をつなぎ留めておくためにも、上司として嫌われないことは重要だ。
実際、『GoodHire』が2022年1月に発表した調査によると、アメリカの被雇用者のうち実に82%が、いやな上司がいたら退職を考えると答えたという。
アメリカの放送局CNBCのウェブメディア、『Make It』に掲載されたコラムで、シカゴに拠点を置く雇用エージェンシー『LaSalle Newtwork』のCEO、トム・ギンベルが、いい上司と悪い上司を見分ける方法を伝えている。そのコラムの中でギンベルはこう言っている:「入社してくる人は会社を見ているが、退職する人は上司が原因だ」続きを読んで、悪い上司の典型的6タイプと、良い上司の条件をチェックしよう。
部下と友だちになろうとする上司はきっといい上司……ではなさそうだ。トム・ギンベルによると、同僚とコミュニケーションを取るのは大事だが、すぐ友だちになろうとするタイプは友人関係を優先してしまい、適切なリーダーシップや責任を果たせないという。
さらに、社交を優先すると本来の業務に支障が出てチーム全体のパフォーマンスが下がることがある。距離感の近い上司はどうしても部下から好かれることを優先しがちだからだ。
「幽霊」タイプといっても怪談話ではなく、ぜんぜん干渉してこないタイプの上司のこと。職場でなにが起きているのか把握することなしに良い上司になれるはずがない。
ギンベルのモデルによると、幽霊上司は自分のチームの現状をまったく把握せず、部下が連絡を取ろうとしてもつかまえることすらままならない。そうなると部下はなんの方針もなく放置されることになり、仕事の方向性を定めることが難しくなる。さらに、そういった上司の部下は適切な指導者を欠くことになり、部下の成長も阻害してしまう。
自分の感情や心配事だけが重要な「自分が大好き」タイプにとっては部下はどうでもいい存在だ。ギンベルによると、そういう上司がいるとあらゆることがその上司を中心に回ることになってしまう。「自分大好き」タイプが会社のためになんらかの決断を下す必要に迫られた時、第一に考えるのは会社ではなく、自分の利益のことだ。
「自分大好き」タイプにとっては部下が何を必要としているかなどはどうでもいいことなので、チーム全体が人間扱いされていないと感じてしまう。最悪なのは、そういった上司はお世辞が大好きで、「他人の優れたアイディアや解決法などを盗んで自分の手柄にしてしまう」とギンベルは言っている。
働き者なのはいいことなのだから、上司もめいっぱい働くべきだろうか? だが、上司が休みなく働き続けていると、部下もそれを見て自分も同じ強度で働かなければならないように思ってしまう。
ギンベルによると、そういう上司の下で働いていると、上司のように長時間働けない部下は自分が平均以下のパフォーマンスしか発揮できていないと思い込んでしまうという。さらに始末が悪いのは、自分が長時間働くタイプの上司は部下の働きぶりに満足することは決してなく、部下がどれだけ残業しても上司のお眼鏡にかなうことは絶対にないということだ。
部下のやる気を高めようとするのはいいことのはずだ。ギンベルは「はげまし屋」タイプとして次のようなタイプを想定する:「部下が悩んでいる時にははげましてやり、なにか達成したら背中を叩いてほめる。そして必要なときにサポートすることもいとわない」ギンベルによると、そういうタイプはしばしば非常に楽天的で、部下にも常に「物事の明るい面を見る」よう求めるという。
これだけ聞くと非常にいい上司のようだが、実際に一緒に働くとなるとどうだろうか。いつでも楽天的なのにも悪い面もある。ギンベルによると、「やり方として少々古くさく感じられる」ことがある。さらに、そういう上司は悪いニュースを受け入れたがらず、ポジティブシンキングの結果、問題を認識できないことがある。
「爆発」タイプは仕事が自分の満足いくようになされていないと「噴火して、まき散らす」タイプだ。ギンベルによると、「爆発」タイプの上司は「幽霊」上司と近いところがあるという。どちらのタイプも、明確な指針を与えず、「部下がやっている仕事そのものに関心がない」のが共通点だ。だが、一般的に、「爆発」タイプのほうが部下にかかるストレスははるかに大きい。
当然ながら、「爆発」タイプはあまり自省しない。ギンベルによると、もしそういう上司がわが身を振り返ってみれば、部下がミスを犯したのは自身が適切に指導してこなかったせいだとわかるはずだからだという。幸運なことに、こういうタイプはそう多くない。「爆発」タイプに出会ってしまう確率や、あなた自身がそうなってしまっている可能性はかなり低いだろう。
『Make It』掲載のコラムでギンベルは、最高の上司とは責任感があり、部下思いの上司だと言っている。「そういう上司は部下の仕事に対して誠実で忌憚ないフィードバックを返してくれます。そして部下がベストなパフォーマンスを発揮できるよう促すのです」また、優れた上司は部下を対等な人間として扱う。部下が個人的な問題を抱えている時には便宜を図ってやったり理解を示すのだ。
残念なのは、ギンベルも言うようにそういう上司がほとんどいないことだ。だが、少なくともそのようになろうと努力しているだけでも貴重な上司ではある。もしそういう人のもとで働けているならそのことに感謝し、自分もいずれそうなれるよう努力しよう。