アマゾンの熱帯雨林にCO2を浴びせる建築物「アマゾンFACE」:研究実験の目的は
ブラジルの研究者たちは、アマゾンの密林地帯の真ん中に近未来的な装置を建設中だ。それは熱帯雨林の未来を占うプロジェクトの一環だという。
ブラジルで目下建設中なのは、上空から見ると6つの巨大なリング(輪っか)のように見える設備である。アメリカ合衆国の科学者たちが考案したテクノロジーによって、そのリングの内側に二酸化炭素(CO2)を流し込むというわけだ。プロジェクトは「アマゾンFACE」と呼ばれている。FACEは「Free Air CO2 Enrichment(開放系大気CO2増加実験)」の略称。
写真:Dado Galdieri/AmazonFACE
一つのリングは、環状に設置された16本のCO2噴出パイプ(高さ35メートル)からなり、リングの中央にはちょうど写真のような塔が建てられる。それらはマナウス市のアマゾン北部に位置している。
『ナショナルジオグラフィック』によると、国立アマゾン研究所(INPA)とカンピーナス州立大学が研究を主導することになっている。
研究チームの科学者たちがAP通信に説明するところでは、最初の二つのリングは8月には完成し、2024年中頃にはすべてのリングの建造が完了するという。
この調査の目的は、気候変動などの影響により今後ますます濃度が増すことが予想される二酸化炭素を、森林がどのくらい吸収できるのか調べることにある。
森林は二酸化炭素を取り込んで、酸素を大気中に放出する。森林なしでは、我々の生活は立ち行かなくなる。
世界最大の熱帯雨林(その面積はインドの2倍)であるアマゾン川流域の森はとりわけ重要である。アマゾンの密林を損なうことは、そのまま地球温暖化の加速を意味すると科学的に証明されている。
しかし、CO2濃度の上昇に対して巨大な森がどのような反応を示すのか、確かなことはほとんどわかっていない。「アマゾンFACE」はまさにその点を明らかにしようとしている。
「アマゾンFACE」の研究チームは、その解明のため、森の大気環境に人為的な変化を与え、未来のCO2濃度に対する森のリアクションを先んじて知ろうとしている。
科学者たちが危惧するのは、ある時点で「臨界点」がやってきて、アマゾンの密林地帯が破滅的な変化をこうむるというシナリオである。『ナショナルジオグラフィック』が伝えている。
「臨界点」とは、アマゾンの植生および生態系が、もう復元は望めないほど失われるポイントを意味している。
科学者たちの議論は、その臨界点が「いつ・どのように」訪れるかということはもとより、その最初の引き金をひくのは何なのか、つまり、森林破壊と気候変動のどちらがより致命的なのかをめぐってなされている。
科学者たちの一派は、森林破壊をもって最優先課題としている。しかし、本プロジェクトに関わる科学者David LapolaがAP通信に語るところによると、たとえ森林破壊に歯止めがかかったとしても、気候変動が否応なく臨界点をたぐり寄せるという。
「森林破壊を食い止めることは、私たち(ブラジル)がまず第一に果たすべき責任ですが、気候変動について言えば、アマゾン地域の国々だけで対処できるような課題ではありません」と、David LapolaはAP通信に語っている。
このプロジェクトは将来、さらに場所を移して行われることになっている。というのも、CO2の濃度変化に対する植生の反応はアマゾンの巨大な密林の地域ごとに異なってくるはずだからだ。
本プロジェクトに直接参加してはいないものの、この分野の権威ある学者であるLuciana GattiはAP通信に、アマゾン東部はカーボンシンク(CO2の吸い込み装置)としての機能を停止していると説明している。「アマゾンFACE」によって、これから具体的なことが分かってくるだろう。